活動報告

石炭火力発電輸出の公的支援に関する「ファクト集」とファクト集の「分析レポート」

昨日の記者会見で報告しましたが、石炭火力発電輸出への公的支援に関する有識者による「ファクト検討会」で、「ファクト集」とファクト集の「分析レポート」がまとまりました。
この検討会は4月1日から開始し、5月14日まで計4回開催しました。新型コロナウイルスの緊急事態宣言期間と重なったため、初回からWebによる開催、14の会社や団体へのヒアリングも全て書面で行うなど、これまでにない方法での実施となりました。
東京大学未来ビジョン研究センター教授の高村ゆかり座長をはじめ、委員の皆さんの精力的・献身的な努力のお陰で、石炭火力発電輸出の公的支援に関する要件見直しを行う際の議論の土台となるデータが整理されたことに、心から感謝しています。
ファクト検討会委員の皆さま、関係省庁のオブザーバーの皆さん、環境省の担当の皆さん、大変な中で本当にありがとうございました!
今回の「石炭火力発電輸出ファクト集2020」分析レポートについて、高村座長には3つのポイントを言及いただきました。

1. ロックイン(石炭火力発電プラントは50年程度稼働が可能なことから、一度導入すると別のものへの入れ替えが困難になること)や座礁資産化(社会や市場環境が激変した時に、価値が大きく損なわれる資産のこと、ここでは気候変動への対応で、CO2の削減をしなければならなくなると、石炭火力発電プラントを活用できなくなることをいう)などのリスクを考慮する長期的視点を持った評価が必要。
2. パリ協定の目標達成のため、長期的視点のない公的支援実施は閣議決定された長期戦略の方針に反する。
3. 公的支援のあり方を『脱炭素ソリューション』提供型に転換。

これらを踏まえ、石炭火力発電プラントについては、売れるから売るのではなく脱炭素への移行が促進されない限り輸出しない、つまり脱炭素化原則へと方針転換をしなければいけないというのが、導かれた結論だと受け止めています。
近年、政治・行政ではEBPM(Evidence-based Policy Making、エビデンス・データに基づく政策立案)が大事だと言われるようになりました。事実(=ファクト)を洗い出し、それを基に政策立案することで、国民により信頼される政策を実現することが可能だと考えています。
今回の成果をベースに、近々策定されるインフラ輸出戦略骨子に向けて、関係省庁としっかり議論してまいります。

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