活動報告

生物多様性に関する新たな国家目標「30by30(サーティー・バイ・サーティー)」について

27日(金)の記者会見で、生物多様性に関する新たな国家目標「30by30(サーティー・バイ・サーティー)」のロードマップ検討開始について発表をしました。

27日の会見動画は環境省のTwitterより

今回発表した基本コンセプト「30by30」は、2030年までに地球の陸と海の30%以上を自然環境エリアとして保全することを目標とするものです。

元々、2020年の秋に中国で開催が予定されていた国連生物多様性サミットCOP15で決定される予定の次の生物多様性の世界目標案として「30by30」が検討されています。それに先駆け今年6月のG7サミットで、G7の7カ国「30by30」を進めることを合意しました。

陸と海のそれぞれで30%保護という高い目標ですが、既に日本では自然環境保護エリアが、陸で20.5% 、海では13.3%が認定されているため、陸で約10% 、海については約17%の追加認定が必要となる状況です。

今後環境省では、2022年中に30by30実現のロードマップを発表、2023年には少なくとも100地域以上を自然環境エリアとして認定をし、2030年までに陸と海の両方の地域で30%以上の認定実現を目指します。

認定される自然環境エリアとして、環境省の管轄では、まず新宿御苑や北の丸公園のような場所を率先して位置付けていきたいと考えています。

その他、鎮守の森のような神社やお寺にある森(例えば明治神宮など)、大規模再開発エリアにあるような緑地(例えば東京ミッドタウン)、企業が持っている林(サントリー天然水の森)、大学の演習林、学校で教育の一環として取り組まれているビオトープ(生物生息空間)なども認定地域になりうるのではないかと思いますし、私は石川県輪島にある棚田のオーナーで、一区画で収穫された米を毎年送ってもらっていますが、棚田のような農地も、生物多様性保全効果があると認められれば、認定の対象になりうると思っています。

生物多様性の保護と気候変動、経済の環境は密接に関係があると言われていて、例えばハチやチョウのような花粉を運ぶ動物が消滅すると、農産物の生産に大きな影響が出るなど、専門家や自然保護団体から指摘されています。

なので、生物多様性の保護というと、なんとなく一部の専門家だけが唱えるようなイメージがあると思いますが、決してそういう観点だけでなく、経済活動やコロナのような感染症との関連など、私たちの生活にも密接に関連するものだと理解して欲しいと思います。

環境省では、生物多様性の保全と持続可能な利用を進めていく上で、企業活動が重要な役割を担っているという考えています。2010年に開催されたCOP10(日本の名古屋で開催)以降、既に多くの民間企業で生物多様性に関する優れた活動が継続されてきています。これまでの代表的な民間活動や情報開示を事例集としてまとめたものもありますので、ぜひご覧ください。

「生物多様性民間参画事例集」

「企業情報開示のグッドプラクティス集」

気候変動では2030年までに温室効果ガスの削減目標46%(2013年度比)、生物多様性では陸と海で30%保護という明確な数値目標が定められましたが、持続可能な社会を作るために猶予は余りありません。

脱炭素と同様、生物多様性の保護についても国民一人ひとりの意識も大事です。認定された農地で生産されたお米や野菜を購入したり、認定地での保全活動に参加や支援をする、積極的に取組む企業を支援するなど、さまざまな関わり方があると思います。今後も進捗をお伝えしていきますので、ぜひ関心を持ってもらえたら嬉しいです。