活動報告

今日5月22日は「生物多様性の日」

今日5月22日は国連が定めた「生物多様性の日」です。
日本は2010年に愛知県名古屋市で開催した生物多様性条約COP10の議長国として、10年間の取組み目標となる「愛知目標」や「名古屋議定書」を取りまとめました。10年経った今年は取組みの最終年で次の生物多様性の世界目標を検討する年に当たります。
生物多様性の日を迎えるにあたり、生物多様性の歴代締約国会議議長国に対して、条約事務局からメッセージが求められました。

「生物多様性の日」に向けたメッセージ(英語)

メッセージを作るにあたり、国立環境研究所の五箇公一先生や環境省スタッフとの意見交換を通じ、私自身も改めて「生物多様性」について深く考えるきっかけを頂けたことに感謝です。
今後、五箇先生を中心として有識者との勉強会を来月にも開始をすることとしました。生物多様性の保全、気候変動、コロナからの復興、こういったものを一体的に捉えて議論した成果を生物多様性条約COP15でまとめられる次期世界目標の議論、そして、次期生物多様性国家戦略をはじめ、幅広く活用していきたいと思います。
なおメッセージ動画は英語ですので、併せて日本語訳をご覧ください。

2020年は生物多様性「愛知目標」の最終年、温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組み「パリ協定」のスタート年、SDGs達成のための「行動の10年」の開始年と、重要な一年になります。
新型コロナウイルスからの経済社会活動の再開においても、気候変動対策と生物多様性保全が決して後回しにならないように環境大臣としてしっかりリードしてまいります。

「生物多様性の日」特設サイト

国際生物多様性の日“Our solutions are in nature”

今回のコロナ危機は、我々人類の自然との向き合い方・関わり方に大きな誤りがあったこと、そしてこれからの自然共生のあり方を考え直す必要性も突きつけている。
この危機を、人間に行動変容を求める生態系からの重大なメッセージと受け取め、コロナ収束後の経済社会を、生物多様性保全や気候変動対策と両立したものとしていかなければならない。
コロナ後の真の自然共生社会のヒントは、我々日本人の祖先たちが築き上げてきた歴史の中に、例えば循環型コンパクト社会が実現していた先史時代の縄文時代や、約250年続いた江戸時代の人々の暮らしを支えた地域分散社会にある。日本には、「人間も自然の一部」という思想がある。生態系は、美しい空気や水、豊富な食料資源を供給し、安定した生物圏を維持してくれるという、人間社会にとって、なくてはならない機能を生み出すシステムである。これらのシステムに現代社会のテクノロジーと再生可能エネルギーを組み合わせることで、日本は自立型・循環型社会を構築することができる。
日本が提唱し、多くのパートナーとともに進めている「SATOYAMAイニシアティブ」はこうしたシステムの再構築を進めるものであり、世界の指針にもなるであろう。我が国は、今後、世界がコロナから復興する道のりにおいても、「SATOYAMAイニシアティブ」が地域の課題解決に貢献し、SDGs 達成にも資するよう、取組をさらに発展させていく。
また、気候危機への適応において、自然の中にある解決策を活用することも重要。古来、水害に苦しんできた日本では、森林による保水力を活用し、河川と農地の一体性を確保する伝統的な治水技術(霞堤)が用いられ、これは生物の生息地確保にも貢献した。いわゆる「自然のダム」など、気候変動対策と生物多様性保全の統合的な取組も進めていく。
今回のコロナ危機を、人類の生態系への向き合い方や、自然共生のあり方を見直す教訓としよう。
我々は、未来世代や生態系という「他者」に対して「利他的」な行動をし、グリーンでレジリエントな経済社会の再構築ができるか、人類の humanity が問われている。
2020年は日本で採択された愛知目標に代わる次の世界目標を検討する重要な年。今こそ国際社会が協調して、愛知で共有された2050年ビジョン「自然と共生する世界」の構築へ行動しよう。
そのために、我々一人ひとりに何ができるのか。その一歩は「地産地消」。一人一人の地元から循環型経済の一歩を踏み出そう。「save lives, save biodiversity, save our planet.」
ありがとう。