活動報告

食品ロスの削減は脱炭素社会に向けて重要な課題です

食品ロスの削減は、脱炭素社会に向けてとても重要な課題です。

データでは、日本は「家庭から出る年間の食品廃棄量」では世界4位という残念な順位にいます。(1位は中国、2位はインド、3位はアメリカ)

一方で世界では約7万人、約11人に一人は飢餓だと言われています。2020年にノーベル平和賞を受賞したWFP国連世界食糧計画(国連WFP)では、年間420万トンの食料支援を行っていますが、日本の食ロスは(食べ残し、売れ残り、期限が近いなどの理由でまだ食べられるのに捨てられてしまう)年間612万トンもあり、世界の食糧支援の量よりも多いのが実状です。

先週の金曜日に開催した省庁横断の食ロスの会議(食品ロス関係省庁連絡会議、消費者庁・文科省・農水省・経産省・厚労省・環境省がメンバー)では、現在政府が掲げている489万トンの削減目標を、国連WFPの食糧支援の420万トンに近づけ、なんとか400万トンまでに出来ないか、という投げかけを行いました。決して達成が簡単な数値ではありませんが、現状国民当たり毎日お茶碗一杯分の食料が廃棄されている現状から、省庁横断で協力し、もう一段高い目標を目指して改善していきたいと思います。

環境省では、削減策のひとつとして、飲食店等で食べきれなかった食品を持ち帰るというライフスタイルを普及させることを目的に、「New ドギーバッグアイデアコンテスト」を開催し、ドギーバッグによる持ち帰りに代わる新しい名称を広く国民から募集しました。

昨年10 月には、「mottECO(もってこ)」という「もっとエコ」「持って帰ろう」という意味が込められた名称を大賞として選定し、mottECO の普及啓発を目的に、ポスターやステッカー等をダウンロードできるサイトを立ち上げました。

ファミリーレストランのデニーズ、ロイヤルホストでは、合計60店舗で、お客さんが料理を食べきれない場合、希望に応じて100%植物由来の食べ残しお持ち帰り専用容器を渡し、自身の責任の下で持ち帰ることで、「食べ残したものは自分の責任で持って帰る文化」の普及を目指したり、スーパーマーケットのイオンでは、自社ブランドの缶詰など賞味期限が「年月日」で表示されているものを、「年月」表示に変え、廃棄されるタイミングを延長することで、食ロスの削減を目指しています。

またコンビニのセブンイレブンでは、「てまえどり」といって、並んでいる食品の手前(=消費期限が近いもの)からの購入を促進しています。

てまえどりについては、こちらの「エコライフフェア」の動画(農水省のBUZZ MAFF) もご覧下さい。

食品の生産や製造過程、輸送、廃棄の全ての段階で温室効果ガスが発生するので、食ロスの削減は脱炭素にも繋がります。例えば廃棄だけでも、水分の多い生ゴミは、焼却にそれだけ大きな熱量が必要なため、二酸化炭素を発生させてしまいます。脱炭素では、いつも電力が話題の中心ですが、一方で国民の行動変容によるロスの削減も重要であり、食ロスの削減もその一つです。

先週、事業者の食ロスの観点から、帝国ホテル(東京都千代田区)の総料理長の杉本雄さんとお話しました。帝国ホテルでも食ロス削減のため、バイキングからオーダーバイキング形式にしたり、メニューが途中で売り切れても良しとするようにしたそうです。

更に、これまでなら捨てていたレモンの皮や、イチゴのヘタ、甲殻類の殻などを活用した、オリジナルの塩(=サステナブル塩)を作り、料理に使用しています。イチゴのヘタを活用したサステナブル塩を味見させてもらいましたが、とても香りが良くて、食事の内容によって使い分けたら、食ロス削減と同時に新たな塩の使い方も生まれるだろうと思いました。

一つ一つの行動は小さなことかもしれませんが、さまざまな事業者や国民一人ひとりのちょっとした行動変容で、食ロスの削減は可能です。先ずは毎日の食事の中で、捨てないことを考えてみて欲しいと思います。最近はメディアでもよく取り上げられていますので、少しだけ興味をもってみて、考えてみて頂けたら嬉しいです。

一人の100歩より、百人の1歩。

一緒に出来ることから始めてみませんか?

環境省の食品ロスポータルサイトはこちら

農水省BUZZ MAFFの二人と