環境庁創設50周年を迎えました
今日、2021年7月1日で環境庁創設50周年を迎えました。
50年前、高度経済成長に伴い、深刻な大気や水の汚染や自然破壊に見舞われました。公害訴訟では原告勝訴の判決が相次ぎ、美濃部都知事がごみ戦争宣言をして、八王子市で日本で初めてとなるノーカーデーが実施をされ、東京電力福島第1原子力発電所が運転を開始したのもこの年です。
こうした環境の中、公害対策本部を発展させる形で環境省の前身である環境庁が発足しました。そして、50年後、東京から富士山が見える年間日数が32日(1971年)から110日(2020年)へと3倍に増えるなど、公害対策は目覚ましい成果を上げました。
一方で、大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済とグローバル化の進展で気候変動など、地球環境問題が深刻化し、50年間で日本の平均気温は約1.7度上昇、北日本の降雪量は半減しました。
公害対策は良い方向に進展する一方で、気候変動の深刻化、大量生産、大量消費、大量廃棄、生物多様性の損失といった私たち人間の暮らしに根差した新たな環境課題が深刻化し、既に全国各地で目に見える影響が出始めています。
これらの課題が一層深刻化して取り返しがつかなくなる事態を回避し、豊かな地球環境を確実に将来世代に引き継ぐためには、これまでの延長線上ではなく、未来からのバックキャストで(「未来のあるべき姿」から「未来を起点」に解決策を見つける)必要な政策を果敢に打ち出していく必要があります。
私が大臣に就任した2019年9月、気候変動問題はまだ政府全体の最重要課題としての認識は共有されていませんでした。それが、今では一変しました。
グリーン社会の実現が今年の骨太の方針の筆頭に位置付けられ、気候変動対策が日米首脳会談やG7の主要議題になるなど、環境省の取組みが政権の中心課題、世界の中心課題になりました。
このように、50年間で環境省を取り巻く環境の変化は激しく、担う責務も拡大していますが、原点である水俣病をはじめとする公害問題、福島の復興などを環境省の最大の使命として全力で取り組む決意は今後も変わることはありません。
今日から地域の脱炭素を実現するための新たなチームの発足など新体制が動き出しますが、環境省の総力を挙げ、制度改正、来年度予算、税制や組織・定員に向けた検討を加速させていきます。
50年間、環境庁、環境省とタスキを繋いできてくれた歴代職員の皆さん、ありがとうございました。今日から、まずは2030年の目標年に向けて、職員一丸となって取り組んでまいります。
2021.07.01