活動報告

2020年を振り返って(3)

今日は「3つのC」の3番目、カーボンプライシング(carbon pricing)について書きます。
カーボンプライシングとは、炭素に価格をつけること。具体的には、Co2の排出量が多ければ多いほど支払いが増える仕組みです。逆に言うと、排出量を少なくすることで支払いを減らすことができるわけですから、脱炭素の取組みにインセンティブ(=動機付け)を持たせる仕組みになります。

12月21日、菅総理のもとに梶山経産大臣と私が呼ばれ、両省で連携してカーボンプライシングの議論を進めるよう指示が出ました。これはカーボンプライシングにおいて、画期的なことでした。
現状は、カーボンプライシングの本格導入が決まったわけではありません。環境省と経産省で連携して「議論せよ」ということです。実現するかどうかはこれからの議論次第です。
それでも、なぜ画期的なことだと言えるのか。
総理からカーボンプライシングの検討指示が発せられること自体が、これまでの経緯からは、想像がつかないことでした。

環境省内では環境税の議論から数え、これまで30年近くの歴史があることから、「30年戦争」とも言われるほど思いがある政策がカーボンプライシングです。
2021年で環境庁設置から50年、環境省になって20年という組織の歴史を考えれば30年の思いが詰まったカーボンプライシングが環境省にとって、どれだけ重要な位置付けか想像して頂けるでしょうか。
そして、これは本格導入がいかに難しいかを表しているとも言えます。議論を進める過程で環境省の担当職員は極めて慎重に、一歩一歩土台を積み上げてきました。反対を表明している産業界にどうすれば議論のテーブルについてもらえるか、また、一度ついたテーブルを蹴って出て行かれないようにどうするか。ガラス細工を扱うような気持ちだったと思います。
大臣就任以来、これまで何度も職員たちと議論を重ねてきました。大臣一期目には動かすことが出来なかったカーボンプライシングですが、状況の大きな変化のきっかけは、やはり菅総理によるカーボンニュートラル宣言でした。

2050年までにカーボンニュートラルを実現するためには、カーボンプライシングのように脱炭素の取組みにインセンティブ(=動機付け)を持たせなければ、産業構造を脱炭素型に大きく変革することはできません。
省内での議論の結果、私と環境省の事務方トップの事務次官で総理にカーボンプライシングの話しをすることを決め、「総理レク(レクチャー)」に臨んだのが12月17日でした。

その後の動きは、先述の21日の総理指示、25日に官邸で開催された成長戦略会議で議論された一つにカーボンプライシングが含まれるようになるなど、これまで表では議題にすらならなかったことが飛躍的に進捗しました。
この年末、石炭、カーボンニュートラル宣言、カーボンプライシングと振り返ってきましたが、全てが繋がっている、連鎖していることを改めて感じます。石炭政策の見直しがドミノのスタートになり、大きく動き出しました。

来年は、日本で「脱炭素ドミノ」を起こすための政策を実現する年です。年明けには、2021年の政策の柱について説明したいと思います。
最後に、この年末年始、コロナに全力で立ち向かっている医療関係者の皆さんに、心からの感謝と激励を申し上げます。そして、今年お世話になった全ての方々に感謝を申し上げたいと思います。

大雪が心配されている地域の皆さん、くれぐれも気をつけてお過ごしください。
来年もどうぞ宜しくお願いします。