活動報告

2020年を振り返って(1)

コロナの影響で分散休暇を早めに取っている方も多いかもしれませんが、今日が仕事納めの方が多いのではないかと思います。そして自然に年末になると、この一年を振り返る時期でもあると思います。
私自身も今年一年を振り返ると、コロナという世界的な危機や、一方で個人的には息子が産まれたことが大きなニュースですが、環境大臣としては、政策が飛躍的に前進した一年でした。

特に、石炭(coal)政策の見直し、2050年カーボンニュートラル(carbon neutral)、そしてカーボンプライシング(carbon pricing)の「3つのC」に風穴が開いたことが代表的だと感じています。
一つ一つ、私が感じたことをお話ししたいと思いますが、今夜はまずは一つ目のCの石炭政策から振り返ります。
石炭と言うと、昨年12月のCOP25で私が国際社会で厳しく批判されたことも覚えている方も多いかもしれません。スペインのマドリードに行く前に関係省庁と石炭政策を見直すように働きかけをしましたが、残念ながら調整は実りませんでした。

しかし、空気が一変したのは今年の1月。私が記者会見で、日本が関与しているベトナムのブンアン2石炭火力に対して疑問を投げかけた時からでした。
「日本が石炭火力を支援しないと中国がやってしまうと言われてきたのに違うじゃないか。ブンアン2は中国とアメリカがプラント建設などを請け負い、日本は商社がお金を出すだけじゃないか!」
今まで言われていたことと全く違う事実が分かったわけです。

振り返るとそこからです。最終的に石炭政策の見直しが前向きに動き出して今に至るのは。
今月は最終的に政府のインフラ輸出戦略が決定し、石炭火力発電の輸出の厳格化と、インフラ輸出戦略の柱にカーボンニュートラルが位置付けられるまでに至りました。
国内の石炭火力発電も非効率なものは段階的になくしていくことが決まっています。
今年の前半の時点では石炭政策の見直しが実現するかわからない状況だったことを考えると信じられない思いです。
環境省内や関係省庁と相当激しいやり取りを重ねた時期もありましたが、今は共に闘ってくれた同志への感謝の気持ちでいっぱいです。
石炭政策の見直しについて関係省庁と合意し、記者会見の後、大臣室に戻ってきた時に環境省の幹部が揃って労いの言葉をかけてくれました。
そして、一番ぶつかった職員のかけてくれた言葉が、
「これは金字塔だと思います」

政策を予定調和ではない方向へと変えるのは簡単なことではありません。特に、他省庁と調整が必要で、様々な政治的・歴史的経緯が複雑に絡み合うエネルギー政策の見直しは最後まで予断を許さないやり取りの連続でした。
最終的に石炭政策の見直しに風穴が開いた背景には、担当官僚と意識合わせのための度重なる議論(ぶつかることもしばしば)、政治的な働きかけ(効果的か逆効果かはケースバイケース)、そして、いくつかの幸運もあったでしょう。
ただ、断言できることは、もし石炭政策が見直されていなかったら、その後に続くカーボンニュートラルもカーボンプライシングの議論も年内にここまで進むことはなかったということ。

支えてくれた全ての人に感謝です。ありがとうございました。次回は二つ目の「C」、カーボンニュートラルについてお話しします。