活動報告

【取材全文】金融庁レポートは、人生100年時代の「年金」を考え直すチャンスに

今朝行われた厚生労働部会の記者会見にて、「老後に2000万不足」とする金融庁のレポートについて報道機関の方々から質問をいただきました。

以下が、私の考えを説明した内容です。

3年前から取り組んできた社会保障改革を知ってもらう機会に

 

記者:ビジョンPTや、国民起点PTでも年金についてさまざまな議論をしてきたと思うが、今、国会で、金融庁の審議会が出した報告書をめぐって議論となっている。国民の中では公的年金制度を含めた老後に対する不安感が広がっている状況だが、この問題についてどのように考えるか?

 

小泉:今日は「労災ゼロの推進・教育訓練給付の拡充」の発表の場でしたが、この質問があがると思っていました。これは年金の改革などこの3年間取り組んできたことを説明するチャンスだなと思っています。

この国民起点PTで、去年「ねんきん定期便の見直しをしていなかったら」と考えると、私は「今以上に年金に対する不信感が広がっていたのではないかな」と感じています。

昨日メディアの方々との懇談会があって、その場でもお話をしましたが、メディアの幹部の方の中でも、今の年金制度を把握している方というのは、会場の4分の1いるかいないかでした。特に国民起点PTで見直しをした、今の年金は60歳から70歳までが選択できるということを、半分以上の方は知りませんでした。さらに60歳(から受給開始)で3割カット、70歳(から受給開始)で42%アップとなることを知っている人はさらに減って、4分の1もいませんでした。このことは、いろいろな場で話していますが大体10%いるかいないかです。

 

また昨日は骨太の方針の原案が党内の政調全体会議で諮られましたが、その中に、今までこの3年間やってきたことがすべてといってもいいほど盛り込まれることになりました。

私は3年前から、人生100年時代の年金は、「人生100年型年金」に変えるべきだと言ってきました。これは今回の問題が起きるはるか前から、こういう方向に変えていくべきなんだと言ってきたことです。そして、これからようやく形になります。

 

なので、私としては今回の議論は、「人生100年型年金」を伝えるいいチャンスだと思います。せっかくですから、この機会に、年金は今(受給を開始する年齢を) 60歳から70歳で選べる制度ですが、それを我々は、「さらに選べる幅を広げようとしている」ということを知っていただければと思います、政府も具体的に検討を始めています。

 

70歳で終わりではなくて、それ以上も選択できる幅を増やしていく。こうしたことで、人生100年という長い人生の中で1人1人の多様な生き方に合わせて、選択可能な制度を年金をはじめとして、さまざまなところにしっかりと入れ込んでいくということを説明する機会だなと、とらえています。

 

政治も国民も、「年金」を直視して欲しい

 

記者:麻生大臣は、この問題に関して、報告書は受け取らないという対応をとられたと思うが、この対応についてはどのように考えるか?

 

小泉:報告書の中身というのは、多くの国民のみなさんが知っています。私もさっきスマホでその報告書を見ましたが、今でも金融庁は(今回の資料を)アップしているんですよね。だから、報告書を受け取る、受け取らないというその対応をこえて、年金の制度を含めて直視していくことが重要です。

人生100年時代に変わってきている中で、我々、国の側としても制度を作る側としても考えなければいけないことがあるということです。そして、1人1人のみなさんにも、この時代の変化の中で、なぜ、我々がこういう(人生100年時代に向けた社会保障)改革をやっているのかということ知っていただく機運が生まれたと思っています。、

 

私は、村井さん、田畑さんも含めて、3年前の自民党の中の小委員会という、まだ、誰も取り上げていない、さらには人生100年型年金なんて言葉さえも誰も知らなかった時から、ずっとこの100年型年金にすべきだという事を言ってきました。

今回の議論で、ようやく我々が3年間言い続けてきた『だから、この年金を変えなければいけないんだ』ということに目が向けられるチャンスが来たかもと思っています。来月は参議院選挙もありますが、私は全国でそういう話もしていきたいなと思っています。

「知ること」で不安を減らしていく

 

記者:党の幹部の中では、この報告書はなかったことにする、だから予算委員会も開かないと。まるで、議論を避けるような姿勢も見られるが、どうご覧になっているか?

 

小泉:金融庁は、まだ報告書をアップしていますしね。誰でもスマホで見られますから。また、仮に金融庁がこれですぐにもうホームページで見られないようにしたって、もう保存されていますからね。そういったことを考えると、この時代というのはそういう時代なんですよ。

 

だから、社会保障改革は、もう待ったなしだと。そういったことを議論するチャンスに変えなければいけないと思います。また、厚労部会長としても、これだけ思いを持って、ずっとやってきて、そして、人生100年時代という言葉が生まれる前から、人生100年時代と言ってきていて、その立場からすれば、多くの人が耳を傾けてくれる機会にしたいな、と思っています。

 

そして、私は確信を持っていますが、この制度をちゃんと伝えて、そして、厚労省が今まで届けきることができなかったことをちゃんと届けきることができれば、不安をゼロにすることは難しいと思いますが、「不安を小さくすることはできる」と思っています。

そして、1人1人にとって多様な生き方、働き方が出てきた中で、こんなに国の制度って選べることになっているんだということに気づきを与えることは間違いなくできると信じています。

 

TPPの時の議論もそうだったと思います。TPPの中身がわからないからTPPをすごく恐れた人たちがいっぱいいて、もう党内も含めて大変でしたよね。だけど知れば知るほど、「そういうことか」とわかってくれる人は必ずいるんです。

 

今、いろいろな報道も見ている中で、60歳から70歳まで選べるということや、後ろに選択をずらしていくことによって、年金の額が増額をされることはなかなか知られていません。そしてそれはなぜかというと、国民の皆さんのせいではなくて、それを知らせることに、十分努力をしてこなかった国や役所のせいでもあるんです。そして、それをずっと野放しにしてきた、我々政治家の責任もあるんです。

 

私が厚労部会長になって田村さんや村井さんや田畑さんたちと、本当に一丸となって、世代を超えて、法律などを待つことなく、「今すぐにでもできることから変えよう」としたのがこの国民起点PTです。徹底的に国民の目線に立ち、迅速に取り組んできました。ねんきん定期便も国民の目線に立って見直しを行い、すでに2か月前の4月から変わっています。私は、これをやっておかなかったら、大変なことだったなと思います。きょう部屋にいる(取材陣の)方々も、4月に、ねんきん定期便が全面改定されたということを、まったく知らなかった人も多いと思いますが、ぜひ、この機会に、4月からどう変わったかというのを見て頂いて、報道の材料にしていただければと思います。(了)